
発信量は年間約15本から約85本へ。三菱重工浦和レッズレディースがStoryHubで築いた、担当者1人でもファンに物語を届け続ける仕組み
三菱重工浦和レッズレディース
選手の思いやチームの内側にある物語を届けたくても、少人数の広報体制では継続的な発信まで手が回らない。三菱重工浦和レッズレディースも、そんな課題を抱えていました。事業スタッフは約6名。広報を担う高野和也さんは、マネジメントを兼務しながら外部からの問い合わせ対応に追われ、自分たちから発信する時間を確保できずにいました。加えて、女子サッカーを取り巻くメディア環境の変化によって、取材の機会も限られるようになっていました。
状況を変えるために導入したのが、オールインワンAI編集アシスタント「StoryHubスタジオ」です。トライアルを経て本格導入し、年間の記事発信数は10〜15本から約85本へと増えました。選手インタビューやパートナー企業の紹介、育成世代向けコンテンツに加え、社内議事録にも活用が広がっています。限られた人員で発信を続ける仕組みについて、導入の背景から現在の活用、今後の展望までを伺いました。
プロフィール
高野和也さん
浦和レッズ レッズレディース本部 部長
導入前の課題
・事業スタッフは約6名。広報担当は実質1人で、マネジメントも兼務していたため、外部からの問い合わせ対応に追われ、自分たちから継続的に発信する余力がなかった
・メディアが取材に割けるリソースが限られるなか、女子サッカーの取材機会も減り、クラブ内部の物語を届けにくくなっていた
・外部ライターへ継続的に発注する予算は限られ、内部にある一次情報を記事として届ける仕組みをつくれずにいた導入後の効果
・年間の記事発信数が、導入前の10〜15本から約85本に増加
・選手インタビュー、パートナー企業の紹介、育成記事、活動報告、社内議事録へと活用が拡大
・選手の家族やチームメイト、ファンから記事への反応が寄せられ、チーム内でも発信への手応えを得られた
——まず、レッズレディースの活動と、高野さんの役割を教えてください。
高野さん:浦和レッズ レッズレディース本部では、私を含む6名ほどの事業スタッフで、事業全般を担っています。私は部長としてマネジメントをしながら、広報領域は企画から発信までの主要業務をほぼ一人で担当しています。少人数体制であるがゆえに、日々の業務に追われ、自分たちから継続的に情報を発信するところまでは手が回りませんでした。外部から問い合わせがあれば対応する。そんな受け身の広報になっていたんです。

——外部からの問い合わせに対応するだけでは不十分だったのでしょうか。
高野さん:以前と比べて、取材機会は減少傾向にありました。開幕前や何かトピックがある時期に声をかけると、まだ複数のメディアの方が取材には来てくださいます。しかし、メディア業界全体で取材に予算や人員を割きにくくなり、より注目を集めるテーマにリソースが集中するようになっています。女子サッカーは、サッカーのなかでも、まだ十分な注目が集まりにくい領域です。もちろん、私の力不足もあるのですが、日々の取材ですと、クラブから働きかけても、なかなか来ていただくこと自体が難しい状況になっています。
——そうした課題があるなかで、StoryHubを知ったきっかけを教えてください。
高野さん:知人から紹介してもらったことがきっかけです。当時、StoryHubの経営陣が「埋もれてしまうストーリーを世に出し、いわゆる見出しだけで中身がなく、信用に足らない情報があふれる状況を変えたい」と話していたんです。その考えに強く共感しました。浦和レッズには「次世代に向けて豊かな地域・社会を創っていく」という理念があります。目指す方向が重なっていると感じました。
——AIを使った編集ツールを導入することに、抵抗はありませんでしたか。
高野さん:前々職ではクラウド会計ソフトを提供するfreeeに勤め、テクノロジーで課題を解決する文化に触れていました。さらにさかのぼると、浦和レッズで経営企画を担当していた時期に、紙の承認フローをデジタル化した経験もあります。ツールに合わせて仕事の進め方を変える感覚があったので、ツール導入に抵抗はありませんでした。

——StoryHubに手応えを感じたのは、どのような場面でしたか。
高野さん:当時所属していた選手に3分半ほどインタビューし、そのときはApneaという名前だったStoryHubに音声データを入れたところ、8〜9割ほど形になった原稿が出てきたんです。驚いて、すぐにStoryHubの担当の方に連絡したことを覚えています。
開幕戦で敗れ、その選手が失点に絡み、その悔しさや責任感から翌日涙を流していた状況を見聞きし、その思いをファン・サポーターのみなさんに届けたいと感じました。書き出しだけ自分で用意し、インタビュー音声を入れてみると、短いコラムとしてかなり質の高い原稿ができたんです。あの体験で「これしかない」と確信しました。
不定期連載『Beyond』vol.1 「申し訳ない気持ちが溢れ出て…」遠藤優、敗戦から見えた確かなものー。
——現在は、StoryHubをどのような場面で使っていますか。
高野さん:大きく分けると、対外発信と社内活用の二つです。たとえば、昨シーズンは対外発信では「FACE」という連載の記事を制作しました。大きな試合の前などに選手へインタビューし、チームの内側にいるからこそ分かる背景を加えて、骨太のストーリーに仕立てています。
この連載では、高橋はな選手がスポーツダイレクターに代表辞退を申し出たというエピソードを記事にしました。外部の方では起こっていることに気付けない話でも、クラブの中にいるスタッフだからこそ、気付くことができますし、どこまで情報を出すかを必要な担当者と相談・判断しながら、スピーディに記事化できます。
——「FACE」以外には、どのようなコンテンツを制作していますか。
高野さん:他にも、試合に向かう選手の思いをつづったショートコラム、選手自身が発信する企画、YouTube企画の文字起こし記事、育成世代向けの一問一答インタビュー、パートナー企業の紹介記事などを制作しています。
パートナー企業の紹介では、たとえば「道路のノーベル賞」とも呼ばれる賞を受賞した埼玉県の中小企業を取材しました。ヒーティングシステムなど、専門性が高いテーマであっても、取材先からいただいた発表済みの資料をStoryHubに読み込ませることで、制作時間を大きく短縮できています。最後は取材先にも原稿を確認していただき、内容の正確性を確かめてから公開しています。
——記事制作以外では、どのように活用していますか。
高野さん:記事制作だけでなく、社内の情報共有にも活用しています。オンライン会議の動画から議事録を作ったり、WEリーグが主催するマーケティング会議や広報会議の映像をまとめて、社内向けの資料にしたりしています。オンライン会議であれば、録画した動画をStoryHubに入れて、レシピを起動するだけですから、効率が上がって助かっています。
——StoryHubのどこに特に価値を感じていますか。
高野さん:一番は、「レシピ」という発想です。あらかじめアウトプットの方向性を設定しておけるので、専門的なプロンプトを書けない人でも使えます。生成AIではプロンプトが重要だと言われますが、自分でプロンプトを書けるのは、まだ限られていると感じています。多くの人がAIの利点を生かすには、ある程度の道筋があったほうが使いやすい。レシピは、「AIの民主化」という意味でも、とても良い発想だと感じています。

——導入によって、なにか変化はありましたか。
高野さん:AIが100%の完成品を出すわけではありません。平均すると6〜8割のたたき台をつくってくれる感覚があるんですが、だからこそ最後は選手の思いやチームの状況を踏まえて、どう表現するかを考える余地があります。私はもともと記者で、書くことが好きでした。一方で忙しさや役割の変化から、そうした創造的な仕事に時間を使えなくなっていたので、StoryHubに助けてもらうことで、忙しいなかでも表現する仕事に向き合える。仕事の充実感を得られることも、大きな価値だと思います。
——発信量が増えたことで、どのような反応がありましたか。
高野さん:先ほどもお話したとおり、外部メディアによる取材の機会が限られるなか、一人の選手について深く掘り下げる取材はさらに少ないのが実情です。これまで届けられなかった選手の声を、記事として届けられるようになったのは大きな変化です。記事を公開した選手から、「家族に『いい記事だったね』と言われました」「チームメイトが『ちょっと泣きそうになりました』と話していました」といった声をもらいました。
——記事を読んだファンからは、なにか反応がありましたか。
高野さん:昨シーズン、プレシーズン中に、ほぼ全選手のショートコラムを公開しました。すると、クラブの問い合わせ窓口に「情報発信してくれてありがとうございます。選手たちがポジティブに取り組んでいることが分かったので、今シーズン応援できます」というメッセージが届いたんです。アメリカでの遠征も行っていた中での発信だったので、StoryHubがなければ、あのタイミングであれだけの発信を続けることは難しかったと思います。

——クラブが自ら発信することで、取り上げられる選手や物語にも広がりは生まれましたか。
高野さん:生まれました。たとえば、試合にあまり出場できていない選手の思いやその選手の背景などは、ニュース性を重視する外部のメディアの方たちに委ねているだけだと、なかなか発信する機会は生まれません。やはり、一般に注目度が高いと思われているもの、ニュース性が高いものをメディアの方たちは求めていますし、それが役割でもあると思うので。
その意味では、そうした物語は、クラブの中にいるからこそ内外に届けられると感じています。
また、外部のライターの方は、クラブの文化や業界の事情を十分に知っているとは限りません。どこまで情報を出すかの判断も難しいところがありますよね。組織の中に書ける人がいれば、一次情報に触れながら、公開する情報の範囲も判断しやすくなります。これは一般的な企業のコーポレートコミュニケーションにも通じる話だと思います。
——今後は、StoryHubの活用をどのように広げていきたいですか。
高野さん:一つは、音声メディアやラジオへの展開です。音声コンテンツをテキスト化し、StoryHubを使って別の形へ展開していくことは検討しています。
もう一つは、まだ構想段階ではありますが、チームでの活用の可能性です。毎週、試合の振り返りや対戦相手の分析をするミーティングがあります。今は、映像を見ながらコーチングスタッフが説明し、選手はそれを音声や映像で受け取る形ですが、StoryHubを使って映像の一場面と説明を記録できれば、選手が後から内容を振り返れる仕組みをつくれます。指導者にとっても、自分のプレゼンテーションを可視化し、コーチングの改善につなげられる可能性があると考えています。
——最後に、StoryHubの導入を検討している方へ伝えたいことを教えてください。
高野さん:StoryHubがあれば、伝える機会を増やすことができると思います。日々の中で、たとえば一般のメディアの方たちが取り上げるようなニュース性があるような情報や物語までにはいかないけれど、届けると誰かに共感されたり、何かしら勇気を持ってもらえたり、その組織を好きになってもらえたりする思いや考えというのは、組織の中にあると思います。そういったものを発信したい、届けたいと考えている方には、StoryHubは大きな助けになってくれると思います。
StoryHubは、「やりたいけれど難しい」と思っていたことを実現するための一つの解決策を示してくれました。
ぜひ、まずは触れてみて、情報発信を広げる可能性を感じていただきたいです。
執筆: StoryHub(AI編集アシスタント)
編集:インクワイア
撮影:加藤甫
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