ナレッジ

keyboard_arrow_right

AIでオウンドメディアの記事を量産する体制づくり:一次情報(素材)・型・原稿作成...

AIでオウンドメディアの記事を量産する体制づくり:一次情報(素材)・型・原稿作成・公開の4ステップ

access_time

2026年06月29日

「記事にして」と打ち込んだ。過去のウェビナー録画をAIに貼り付けて、そう指示した。返ってきた文章は2,000字。読める。でも公開できない。自社らしくない。薄い。何が足りないのか、わからない。

AIツールを変えれば解決する、と思ってStoryHubに相談に来る方もいらっしゃいます。でも実際にはツールではなく、AIに渡す一次情報と型の設計が抜けていることが多いです。

オウンドメディアの記事を増やしていくには、ツールだけでなく「一次情報の棚卸し」と「型の設計」を行っておくと進めやすくなります。本記事ではそれを踏まえる形で、AIを活用してコンテンツ制作をスケールさせるための具体的な4つのステップを解説します。

なおこの記事は、編集方針・ターゲット読者がすでに決まっている方向けです。もしまだ決まっていない方はこちらの記事をお読みください。

「何を書けばいい?」から抜け出す:オウンドメディア立ち上げ前の編集方針・体制設計ガイド

「記事にして」と指示したのに品質が足りず公開できない理由

多くの担当者が「AIに指示しても、なぜか公開できる品質の記事が出てこない」という課題に直面します。この問題の本質は、AIツールの性能ではなく、AIに与えるインプットにあります。

インプットの問題とはなにか

AIのアウトプットが期待通りではない場合、その原因はツールよりも、一次情報に課題があったり、指示が悪いケースが多いです。ツールを変えても、インプットのアプローチが同じであれば、同じ問題が繰り返されるのです。

汎用的な生成AIに簡単な指示だけで記事を書かせると、アウトプットは「インターネット上の平均値」になりがちです。AIは学習データに基づいて文章を生成するため、自社が独自に持つ情報(一次情報)をインプットしなければ、独自性のあるコンテンツは生まれません。

一次情報なしでのコンテンツ量産がサイト評価に与えるリスク

一次情報に基づかないコンテンツの量産は、単に「独自性がない」だけでなく、サイト全体の評価を下げるリスクを伴います。

Googleは「独自の情報、報告、調査、または分析を提供しているか」を評価項目の一つとして明示しています(出典:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成)。低品質なコンテンツが多い場合、サイト全体の評価に影響する可能性も示唆されています。

また、Googleの品質評価基準であるE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)では、コンテンツ作成者の「実体験(Experience)」が重視されます。自社独自のインタビューや調査データといった一次情報に基づかない記事は、この点で評価が低くなる可能性があります。加えて、AIが事実ではない情報を補完してしまうハルシネーション(事実誤認)の混入リスクも、特に広報やマーケティング活動においては無視できません。

量産を始める前に確認する「一次情報の棚卸し」

では、どうすればよいのでしょうか。最初のステップは、ツールを探すことではなく、自社内に眠っている「一次情報」を棚卸しすることです。

「一次情報がない」のではなく「記事に変えていない」だけ

StoryHubで多くの企業様とお打ち合わせする中で「コンテンツのネタがない」というお話も聞きます。実際には「情報を記事に変えるプロセスがない」だけであることがほとんどです。StoryHubをご導入された企業の多くに、活用されていない一次情報が大量に存在していました。

例えば、ある企業では「ウェビナーは大量に実施しているが、終わったらそのまま。録画を活かして記事にしたことはほぼない」状態でした。別の企業では「取材済みのインタビューが3本、未公開のまま溜まっている」というケースもありました。これらはすべて価値あるコンテンツのもととなる「一次情報」です。

一次情報の棚卸しシート

まずは、自社にどのような一次情報があるかを可視化しましょう。以下のフォーマットを使い、過去3ヶ月の活動で生まれた一次情報を5つ書き出してみてください。

No.

一次情報の形式

具体的な内容(例)

1

音声

4月実施の顧客インタビュー録音

2

動画

5月開催の製品紹介ウェビナー録画

3

テキスト

役員会議の議事録(〇〇戦略について)

4

資料

営業部が使用している提案資料(PDF)

5

テキスト

社員サーベイの回答データ(CSV)

「大量にあって、どこから手をつければ…」と感じるかもしれません。そもそも「何が素材になるのか」が分からない、という方もいるでしょう。特別なものである必要はありません。例えば、営業チームの商談録画、カスタマーサポートの応対記録、社内のSlackチャンネルでの議論、新機能の開発ドキュメントなど、日々の業務で生まれるあらゆる情報が、顧客の課題や自社の専門性が詰まった貴重な「一次情報」です。完璧を目指さず、まずは直近1ヶ月の素材から書き出すことから始めてみてください。重要なのは、この「宝探し」を通じて、自社にどのような資産が眠っているかを体感することです。たった数個の素材を書き出すだけでも、コンテンツ化の糸口が見つかるはずです。

Step 1 一次情報を集める

棚卸しができたら、次は量産体制で使う一次情報の種類と優先順位を決めます。方針が明確であれば、どの一次情報を優先すべきかはおのずと絞り込めるはずです。

一般的に、コンテンツ化しやすい一次情報の優先順位は以下の通りです。

  1. インタビュー音声: 専門家の知見や顧客の声など、独自性の高い情報が最も豊富です。

  2. ウェビナー録画: 構造化されたプレゼンテーションであり、レポート記事やノウハウ記事に転用しやすい一次情報です。

  3. 議事録・資料: 社内の議論やファクトが詰まっており、コラムや解説記事のベースになります。

  4. 既存記事(お手本): 過去の良質な記事は、新しい記事のフォーマットやトーンを定義する「型」の一次情報になります。

Step 2 型を作る――誰が使っても同じ品質を出す仕組み

一次情報の次に重要なのが「型」です。型とは、記事の構成や文体を定義した雛形であり、組織で共有できるコンテンツの設計図です。

プロンプトを型化する

生成AIに指示するプロンプトでどのような記事になるかは決まります。しかし、属人化を避けるためには、このプロンプトを組織で使えるよう型化していく必要があります。

「チームでAIを使うと文体や品質がバラバラになる」という課題は、この「型」が存在しないことに起因します。

型に含めるべき5つの要素

AIを使う前に、まずはGoogleドキュメントや社内Wikiに以下の5つの要素を書き出すだけでも、品質の安定化に大きく貢献します。

要素

具体例

① 記事の構成パターン

導入→課題提示→解決策→まとめ、など

② 文体・トーン

です・ます調、専門用語は解説を入れる、読者への呼びかけ方

③ 表記ルール

英数字は半角、会社名は正式名称、「弊社」ではなく「当社」

④ ファクトチェック項目

固有名詞、数値データ、発言者の役職は必ず一次ソースで確認

⑤ NGワード

競合を貶める表現、断定的な表現(「必ず」など)

Step 3 原稿を生成する

「一次情報」と「型」が揃って、初めてAIによる初稿生成のステップに進みます。生成AIにインタビュー音源をアップして「記事を書いて」と指示するだけでは、良い記事を作るための工程が抜け落ちています。

生成を始める前に、以下のチェックリストを確認しましょう。

  • インプットとなる一次情報は揃っているか?

  • アウトプットの基準となる型は用意したか?

  • 生成後のファクトチェック担当は決まっているか?

この準備ができていれば、生成後の編集フローは最小限で済みます。初稿(AI)→ 事実確認 → トーン調整 → 公開。あるStoryHubを利用している企業の担当者からはこのプロセスを回すことで「書く前の重さがなくなった」「とりあえず音源を入れちゃえばいい、という気持ちになれる」という声が聞かれました。
いくつかステップを書いておりますが、私個人としてはコンテンツ制作の心理的ハードルが下がることこそ、量産体制の鍵だと思っています。

Step 4 公開と体制化――初月から回す最小チーム設計

最後に、このプロセスを継続的に回すための最小チームを設計します。前編の記事でも触れましたが、以下の役割を定義することが重要です。これらは1人でも兼任可能ですが、役割として整理しておくこと、対応すべきことが明確になります。

  • オーナー(PM): 企画立案から公開までの進行管理、最終的な品質に責任を持ちます。

  • エディター: 構成案や原稿の編集、トンマナの統一、修正対応を担います。

  • ファクトチェック担当: 原稿内のデータ、固有名詞、事実関係の正確性を検証します。

  • 確認者(承認者): 広報や法務、事業責任者など、公開の最終承認を行います。

体制が整ったら:さらにスケールさせる選択肢

「一次情報→型→初稿→公開」のサイクルが自走し始めたとき、次の課題として品質の再現性とチームへの展開が見えてきます。個人のスキルに依存するプロンプト運用では、ここで再び壁にぶつかります。

この課題を解決するのが、StoryHubのようなAIツールです。StoryHubは、入力した一次情報に忠実なアウトプットを生成し、ハルシネーションを抑制する設計になっています。また、編集の「型」を「レシピ機能」としてプロダクトに組み込むことで、誰が使ってもチームで合意した品質を再現できます。これは、汎用AIツールとの本質的な違いです。

本記事で解説した「一次情報」と「型」の考え方に基づいた制作体制を、さらに効率的かつ安定的に運用したい方は、ぜひ一度お問い合わせください。

https://storyhub.jp/

なお、オウンドメディアの立ち上げ前の準備から始めたい方はこちらをお読みください。

「何を書けばいい?」から抜け出す:オウンドメディア立ち上げ前の編集方針・体制設計ガイド

高野 政法

VP of Business

大学卒業後、複数企業を経て2014年に株式会社はてなで営業部長を務め、2017年にスマートニュース入社。広告事業やメディア開発に携わり、2022年からSmartNews+の立ち上げを担当。並行してインターネットメディア協会の事務局長も務める。2024年7月にHEROZ株式会社で生成AI SaaS事業部を立ち上げ、2025年3月からStoryHub株式会社のVP of Businessに就任。