
「その人の魅力が全開になるインタビュー記事が書ける仕組み」を整える。東急人事企画グループのStoryHub活用
2026年07月07日
東急株式会社
東急株式会社の人材戦略室 人事企画グループ 風土醸成チームは、2名体制で社内向けのインタビュー記事やイベントの書き起こしを月に最大10本近く制作しています。「人の魅力を深掘りして伝える」ことをテーマに掲げる一方、汎用的なAIツールでは文章が整いすぎて「生っぽさ」が失われるという壁があり、AIの活用を諦めかけていたといいます。
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AI編集アシスタント「StoryHub」の導入後は、インタビュー記事の制作時間を従来の約3分の1に短縮しながら、自分たちが納得できる品質を保つ体制を確立しました。導入の背景から活用の実態、コンテンツ制作の哲学までを、植村 麻紀子さんと三國 志乃さんに伺いました。
プロフィール
植村 麻紀子さん:東急株式会社 人材戦略室 人事企画グループ 風土醸成チーム。社内向けインタビュー記事をはじめとする読み物系コンテンツの企画・制作を担当。三國 志乃さん:東急株式会社 人材戦略室 人事企画グループ 風土醸成チーム。お昼休みの配信番組「ランチセッション」をはじめとする社内イベントの運営と、イベント書き起こしの制作を担当。
導入前の課題
・社内イベントレポートの書き起こしを外注しており、毎回の発注手続きと手直しに手間がかかっていた
・インタビュー記事は完全内製で、録音の書き起こしから記憶を頼りにまとめる作業に時間がかかっていた
・複数のAIツールを試したものの、原稿にすると「生っぽさ」や人となりが失われてしまい、活用を諦めかけていた導入後の効果
・インタビュー記事の制作時間が従来の約3分の1に短縮
・外注していた書き起こし作業の発注手続きが不要に
・イベント直後の隙間時間で書き起こしの処理が完了するように
・担当者が交代してもコンテンツを継続できる仕組みを確立
・月に最大12本程度まで制作できる体制に
目次
——まず、チームの役割とミッションについてお聞かせください。
植村さん:風土醸成チームは、人材戦略室の中にあり、メンバーは私と三國の2人です。人材戦略室の掲げる方針として「人事は制度や仕組みを作っていくだけではなく、風土も両輪で回す」というものがあります。
たとえば、どんなにいい育休制度があっても、周りがそれを取ることを良しとしなかったり、言いやすい雰囲気がなければ利用されません。いい制度を作るだけでなく、それを使いやすくする組織風土も一緒に作っていこうと、その風土づくりを担当しています。活動としては、おもに社内イベントの企画運営と、記事の発信を行っています。

(植村 麻紀子さん)
——記事の発信はいつ頃から始められたのでしょうか。
植村さん:社内向けの情報発信自体は、別部署で2020年からはじまっていました。3年前に風土醸成を担当するチームが人事に移管されたタイミングで「人の魅力を深掘りして伝える」というところに完全に軸足を置き直して再スタートした感じです。
ただ、広報の部署は別にあって、社内広報を担当するチームもいます。そのため、「社内報があるのに人事が記事を発信する意義は何だ」と問われたこともありました。ですが、人事だからこそ、人にフォーカスした発信ができると考え、取り組んでいます。
——StoryHub導入前のコンテンツ制作では、どのような課題を感じていましたか。
植村さん:正直に言うと、制作自体にものすごく大きな課題があったかというと、そうでもないんです。月に3~4回開催している、お昼の配信イベントの書き起こしは外注していて、毎回の発注手続きが少し面倒だったことくらい。
インタビュー記事はすべて内製で、ボイスレコーダーに録音したものを文字起こしツールに読ませて、でもそれはいったん無視して記憶を頼りに原稿をまとめ、曖昧なところだけ文字起こしツールに確認しに行く、という作り方をしていました。
苦ではなかったけれど、なにせ2人しかいないので、出したいことがたくさんあるのにリソースが足りない状態でした。
——リソース不足を補うために、AIツールは試されましたか。
植村さん:ChatGPTや法人向けの生成AIサービスなど、本当にいろいろと試しました。でも、やはり自分たちで書いたほうが早いし、いい感じに仕上がるという結論になっていました。
AIに頼むと非常にきれいに仕上げてくるのですが、社内だからこそ発信できる生の情報を出したいし、その人の人となりがインタビューから見えるような記事にしたい。AIを使った原稿だと、それが全部帳消しになる感じがあって、諦めかけていたんです。
——StoryHubを知ったきっかけは何でしたか。
植村さん:広報が「私たち今度こんなの説明受けるけど、一緒にどう?」と誘ってくれたのがきっかけです。説明を聞いて「これは希望が持てる」と思ったので、すぐトライアルをさせてもらいました。直前に開催していたイベントの書き起こしを一回やってもらったら、「ここまでできるんだ」という感触がありました。
——そこから、どのように導入に至ったのでしょうか。
三國さん:担当者の方々のお人柄が大きかったです。いいことばかり言うわけではなく、とにかくこのプロダクトを愛している感じが非常に伝わってきて。とても信用できる方々だなと。

(三國 志乃さん)
植村さん:トライアルでうまくいかなかったあとに、「私たちはこういうことがやりたいんだけど」と社内向けの過去記事を何本かお送りして、「これが出せるようにしたい」と相談したら、それが出てくるレシピを担当の方が真剣に考えてくださいました。担当の方が、私たちがやっていることに強く共感してくれたことも大きな要因でしたね。
——こだわっていたインタビュー記事での活用はいかがでしたか?
植村さん:インタビュー記事での活用は、ズレがありました。そのため、レシピのカスタマイズをお願いしました。
その人の人となり、キャラクターが伝わるように、どんなにくだらないエピソードでも取りこぼさないでほしい。口調を勝手にきれいな敬体に変えないでほしい。方言で喋っていればそのまま入れてほしい。文章が支離滅裂でもまとめないでほしい。その場の雰囲気が壊れないように、なるべくきれいにしないでくれ、ということを希望しました。
通常、AIに頼んでいることを全部やらないでほしいという依頼なので、すみません、という感じでした(笑)

——レシピ調整後、StoryHubによってインタビュー記事づくりの負担は下がっていますか?
植村さん:下がっています。今までは本当に一文字一文字自らの手で打っていました。StoryHubだと、きちんとケバ取りができていて、誰がいつ何を喋ったかが分かり、他の文字起こしツールよりもしっかりした日本語で出力されるのが本当に助かっています。一から原稿を作らなくて良くなったのは非常に大きいですね。
——インタビューの企画や場づくりはどのようにしているのでしょうか。
植村さん:まず、うちの会社には本当に面白い人がいっぱいいるんです。ですが、これまで社内で目にしていたものは、大企業ゆえなのか、発信媒体に載った途端にガチガチになって、きれいでいい感じだけれど手触りのないものが多いなと感じていました。私たちは中途入社なのですが、だからこそ、社内に「こんなに面白い人がいる!」って見つけやすいと思うんです。その感動をそのまま届けたい、という想いがインタビュー企画の根底にあります。
その上で、インタビューでは、なるべくリラックスして、かっこつけない、素で喋ってもらえる場づくりを大切にしています。コーヒーを用意して、ボイスレコーダーを置くだけ。メモは絶対に取らないようにしています。同席している人がメモを取り出すと、話す側としては気になりますよね。事前に何も準備してもらわなくていいし、手ぶらで来てもらう。「90分雑談しにきてください」と依頼しています。

——質問リストも用意されていないのでしょうか。
植村さん:質問リストを用意してしまうと、それ以上のところに話が広がりにくいですよね。ただ、事前に何もないのは不安、という人もいるので、たとえば、人材戦略室長と社員が対話する企画では「室長からの7つの質問」のようなものを事前にお渡しはしています。そこから室長が質問したことは一回もありませんけど(笑)。予定調和なものって、書く意味も読む意味もないと思っているので、できるだけその場で生まれた面白いことをそのまま届けたいと思っています。
——イベント用のレシピでは、どのような点を大切にされていますか。
三國さん:AIでまとめると、「何月何日、誰々はこのような説明を行った」というリードから始まる報告書のような記事になってしまったり、そうでなくてもなぜか「うまいこと」を曖昧に言おうとしてきたりすることが多くて。従業員が読みたいのは「イベントを開催しました」っていう記録じゃなくて、「いま会社で何が起きてるのか、どんな熱量でやっているのか」ですし、なんとなくの教訓めいたものはいらないんです。だから一言一句、ほぼ間違いなく書き起こしてくれるようなレシピにしています。今のレシピならかなり精度高く、一発でほぼ完成形に近い原稿が出せることもあります。
——StoryHubの導入後、仕事の仕方はどのように変わりましたか。
三國さん:私はもともと文章を書くことにはそんなに抵抗がなかったんですけど、植村がAIも書き起こしツールもない時代から、取材日含めて2泊3日くらいですごいクオリティの記事を仕上げてくるのを見て、自分ではなるべく書かないようにしてきました(笑)。実際に、取材記事や対談記事の95%は植村が作成しています。たまには書かねばと担当すると、自分で書き起こし作業をしながら、構成も考えて・・・って初稿完成まで1ヶ月くらいお待たせすることもしばしば。せっかくいいお話を聞いたのになぁと苦手意識も芽生えてきてしまい・・・。でもStoryHubを使えば、高精度の書き起こしができあがってくる。その状態でスタートできるのは、心のゆとりがあります。
イベントの書き起こしも、タイムリーにできるようになりました。この取材の直前まで開催していたイベントの音源をStoryHubに入れて、いま確認したらもう上がってきていました。隙間時間でできるという気軽さは、これまでの書き起こし作業とはまったく違います。
また、対談記事や取材記事の良さと配信の書き起こし記事の良さと、それぞれあるじゃないですか。対談記事にするか配信イベントの書き起こしにするか、題材によってどちらがいいのかと議論できるようになったのはStoryHubに出会ったからこそだと思います。

植村さん:完璧な原稿があがってこないところもいいですね。私は前職ではディレクション側だったので、ライターさんからの原稿を手直しすることもあったのですが、人の手を通して完成された原稿をもとに自分の目指すアウトプットに変えるのはかえって難しいんです。
StoryHubは「未完のもの」が上がってきて、そこから自分の原稿にできる。本当に助手という感じで、私にはちょうどいいなと感じています。
あとは、以前は「植村さんがいなくなったらこのコンテンツも続けられなくなってしまう」と言われていたのですが、StoryHubがあるのでメンバーが交代してもきちんと続けていける企画になりました。残せる企画になっただけでも良かったなと思っています。
——今後、チャレンジしてみたいことはありますか。
植村さん:座ってる順番に、片っ端からみなさんの話を聞きたいです。インタビューを依頼すると「私の話なんて面白くないですよ」と言われることが本当に多いのですが、面白くない話なんてひとつもない。かっこつけず、取り繕わず、その人の言葉で語られることはなんだって面白いんです。
最近では、勤続50年の顧問に、入社からの半生を3時間で聞くという企画もやりました。7回の連載シリーズになって、反響も大きかったです。3時間話を伺って原稿にまとめるというのも、StoryHubがなかったら、なかなかできなかった企画だと思います。

——最後に、同じような課題を抱える方に向けてメッセージをお願いします。
植村さん:AIは魔法ではないですし、思い通りに動いてくれなくて「もういい!」ってなることも多々あります(笑)。でも、自分たちが何を届けたいのかを明確にして、それさえブレなければAIはいい「相棒」になってくれると思います。
執筆: StoryHub(AI編集アシスタント)
編集:インクワイア
撮影:加藤甫