
テレビ局の情報番組をWebメディアへ活用。ローカル局の差別化を推進するテレビ大分のStoryHub活用
2026年05月22日
株式会社テレビ大分
大分県内のニュースや地域の情報をいち早く発信するローカルテレビ局、株式会社テレビ大分。同社では、放送以外にストレートニュースのデジタル配信は進んでいたものの、情報番組はテキストデータ化されておらず、Webメディアでの展開にハードルがあるという課題を抱えていました。
ローカル局の差別化において重要な「街」の情報番組をいかにしてデジタル資産に変えるか。その解決策として導入されたのが「StoryHub」です。本記事では、導入前の課題から、動画の記事化、スポーツ実況準備や社内業務での活用まで、同社のStoryHub活用状況と今後の展望をお伝えします。
プロフィール
株式会社テレビ大分
経営戦略部・副部長
迫 祐太朗さん
導入前の課題
・情報番組の内容がテキストデータ化されておらず、Webメディアでのコンテンツ展開にハードルがあった・仮にテキスト化したとしても、テレビとWebメディアでは表現方法が異なり、そのままでは読者に伝わる原稿の品質ではないため編集が必要だった
・プロンプトエンジニアリングが必要なAIツール活用は属人化しやすく、使いこなすために高いリテラシーが求められていた
・セキュリティが担保されたAIツールが明確ではなく、機密情報を含む業務での活用に踏み切りにくかった
導入後の効果
・以前は実現できていなかった情報番組を活用したコンテンツをWebメディアで配信可能になった・レシピ機能を活用して情報番組ごとの構成や品質基準を指定でき、Webメディア向けの原稿品質で安定した記事制作が実現した
・セキュリティが担保されたツールとしてAIに詳しくない担当者でも活用でき、属人化の解消が進んでいる
・動画からの記事化だけでなく、議事録作成、スポーツ実況準備など多岐にわたる業務効率化が進んでいる
目次
——まず、テレビ大分の事業内容と迫さんの役割についてお聞かせください。
迫さん: テレビ大分は、大分県内のニュースや地域の情報をいち早く発信するローカルテレビ局です。私は管理部門に所属しており、メディア現場の直接的な制作業務ではなく、社内のマネジメントやWebメディアの運営サポート、そしてAI活用の推進などを担当しています。
——StoryHub導入以前、どのような課題を抱えていたのでしょうか。
迫さん: ローカルテレビ局が他局との差別化を図るうえで、ストレートニュースだけでは違いを打ち出すことが難しい状況があります。なにか事故や事件があれば全ての局が同じ事象を取材し、報道するためです。
そこで独自性を出すために欠かせないのが、情報番組のコンテンツです。弊社では「ゆ~わくワイド」というワイド番組を月曜から土曜まで放送しており、コストもかけて制作しています。この番組のブランディングの一環としても、視聴者に認知していただくためにも、放送にとどまらずWebメディアでもコンテンツを展開したいという思いがありました。

——ニュースと情報番組では、Webメディアでの配信状況に違いがあったのですか。
迫さん: ニュースに関しては、インタビュー映像も含めてテキスト化していたため、4〜5年前からすべてWebメディアで配信できる体制が整っていました。しかし情報番組においては、お店の名前などはテキスト化されていても、出演者と取材対象者のやり取りはテキストになっていない状態でした。テキスト化されていないため、Webメディアに展開するためのハードルがある状態でした。
情報番組の制作は外部のスタッフに依頼している部分も多く、「すべてテキスト化して納品してほしい」と依頼するのは、ディレクションの負荷やコストの面でハードルが高い状況でした。また、仮にテキスト化したとしても、テレビとWebメディアでは表現方法が異なるため、そのままでは読者に伝わる原稿の品質には至りません。配信できていなかったコンテンツを、いかにしてWebメディアで展開できる品質に引き上げるか。この品質面の課題とリソース不足を解消する手段として、AIの活用を模索していました。

——StoryHubの導入に至った背景を教えてください。
迫さん: AIの活用は社内でも属人化しやすく、リテラシーの高い一部の人間だけが使いこなすツールになりがちです。また、AI推進派と慎重派が混在していることから会社としての方針を定めることにも時間がかかり、AI活用に関して全社的な合意形成が難しいという課題がありました。
そのなかでStoryHubは、「中間工程にAIを使い、確認と取材は人が行う」という明確な考え方を示してくれました。AIにすべてを委ねるのではなく、人間がどこで実行責任を持つのか。この考え方が弊社のスタンスと合致し、社内のガイドライン策定や考え方の整理に大きく役立ちました。
——導入の決め手になった機能はなにかあったのでしょうか。
迫さん: 初期のAIモデルは、使いこなすために高いプロンプトエンジニアリングの能力が求められました。しかしStoryHubの「レシピ」機能は、AIに詳しくない担当者でも試行錯誤の回数を減らして一定品質の結果を得ることができます。
これにより、企画段階から素材の投入、そして執筆・編集へとスムーズに移行でき、本来人間が注力すべき「読まれる記事への編集」や「ファクトチェック」に時間を配分できるようになりました。セキュリティ面が担保されている点も大きな要因でしたね。
——StoryHubを導入してどのように活用していますか?
迫さん: いくつかの用途で活用しています。主な用途は、情報番組の動画素材からWebメディア向けの記事を制作することですね。加えて、ニュース記事のタイトル提案、YouTube配信時のタイトルや概要欄の作成、そして社内会議の議事録制作などにも使用しています。
——情報番組からの記事化では、どのような成果が得られましたか。

迫さん: これまで工数的に実現できていなかった情報番組のコンテンツのWebメディアへの配信がStoryHubによって可能になったことが最大の成果です。番組ごとにカスタムレシピを作成し、冒頭の構成や残すべき要素を指定することで、安定した記事化が実現しています。
たとえば、県内のアトツギを紹介するシリーズ企画では、「親から見た目線」や「事業を残そうと思った理由」といった特有の要素を抽出する専用のレシピを設計しました。これにより、一貫した品質で効率的にコンテンツを制作できています。
——記事化に際して役立っているStoryHubの機能はありますか?
迫さん: テレビの映像表現をそのままテキスト化しても、読者にとっては意味が伝わりにくいことがあります。そのためWebメディア向けに表現を補完したり、書き換えたりする編集作業が欠かせません。しかし、直接取材をしていない人間が加筆すると、事実と異なる内容を記載してしまうリスクがあります。
テレビ局のWebメディア運営において、人的リソースの観点から二重チェックの体制を構築するのは容易ではありません。ある程度のリスク管理をAIが担ってくれることは、非常にありがたいと感じています。

(StoryHubを利用する迫さんの様子)
——Webメディアでの記事制作以外にも、活用の幅が広がっているのでしょうか。
迫さん: はい。社内会議の議事録作成などに活用しています。セキュリティが担保されていないAIツールには入力しにくい機密情報も、StoryHubであれば安心して処理できます。
スポーツ実況を担当するアナウンサーは、取材音声を入力して選手ごとの意気込みや背景、得意プレーなどをまとめた実況用のメモを作成しています。導入直後から定期的に活用しており、現場のアナウンサーからは非常に便利だと高く評価されています。
——他に、StoryHubの活用によって生まれた変化はありますか?
迫さん: Webメディアでのコンテンツ展開が容易になったことで、受託案件の提案の幅が広がってきています。これまでは「テレビで紹介します」という単発のパブリシティ提案にとどまっていましたが、現在では「テレビ放送に加えて、YouTubeでの動画配信、さらにWebメディアでの記事化もセットで提供します」というマルチプラットフォームでのパッケージ提案が可能になっています。以前は手作業では工数がかかりすぎて提案できなかったことが、AIの支援により実現し、ビジネス面でも明確な成果につながっています。
——今後、どのようなメディア展開を構想されていますか。
迫さん: 直近の目標として、現状のWebメディアのようにニュースと情報番組を混在させるのではなく、情報番組専用のWebメディアを構築したいと考えています。ニュースでは独自の色を出しにくいですが、情報番組であれば番組の個性を前面に打ち出し、視聴者との深い関係性を築くことができます。単なる二次利用ではなく、デジタルで通用する「読ませる記事」を作成し、番組の認知向上とセールスの強化につなげていきたいですね。
執筆: StoryHub(AI編集アシスタント)
編集:インクワイア
撮影:テレビ大分 提供