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『アドタイ』のイベントレポート制作を支えるStoryHub——諦めていた取材にも足を運べる編集部へ

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2026年03月25日

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株式会社宣伝会議

マーケティング・コミュニケーション分野のニュース・情報サイト『AdverTimes.(アドタイ)』(以下、『アドタイ』)を運営する株式会社宣伝会議。同社は、オンラインメディアとして安定的にコンテンツを供給する必要性と、イベントの企画開催を強化する方針に伴う、レポート記事制作ニーズの急増という課題に直面していました。

StoryHubの導入により、イベント記事制作におけるリソース不足を補い、コンテンツ制作のリードタイムを大幅に短縮。これまでリソース不足で見送っていた取材にも取り組める体制を構築しました。

導入前の課題から具体的な活用法、そしてAI時代のメディアの役割についての考察まで、同社の取り組みの詳細を伺いました。

■プロフィール

上条 慎 氏
株式会社宣伝会議 アドタイ企画部・編集チーム

小林 健太郎 氏
株式会社宣伝会議 アドタイ編集チーム

東 香菜子 氏
株式会社宣伝会議 アドタイ企画部

■サマリ

導入前の課題

オンラインメディアとして、質を保ちながら安定的にコンテンツを供給する必要があった。

月刊誌の校了前は記事本数が減少するなど、コンテンツ制作にかけられるリソースにばらつきがあった。

イベントの企画開催を強化する方針によりレポート記事のニーズが急増したが、対応できる社内リソースが不足していた。

導入後の効果

数多くのイベントレポートをタイムリーに作成可能に。

記事作成時間が短縮され、これまで参加できなかった記者会見に足を運べるなど、取材の機会が拡大した。

優先度が低く後回しにしていた企画にも気軽に取り組めるようになり、コンテンツの多様性が向上した。

兼務体制で運営するニュースサイト、記事の安定供給と品質の両立が課題に

——はじめに、みなさまの所属部署の役割や事業の概要についてお聞かせください。

上条氏: 『アドタイ』はマーケティング、コミュニケーション領域のニュースサイトです。もともとは2004年創刊の新聞で、2010年にWebサイトの形になりました。編集部門は月刊誌や書籍、年鑑なども制作しており、多くのメンバーが兼務で『アドタイ』に記事を執筆しています。

——StoryHub導入前、どのような課題があったのでしょうか。

上条氏: 多くのメンバーが兼務であるため、時期によってリソースにばらつきが生じるのが課題でした。たとえば、月刊誌は4誌すべてが毎月1日発売なので、校了前はどうしても記事の供給本数が減ってしまいます。しかし、オンラインメディアとしてはコンスタントに記事を出し続けなければなりません。質を保ちつつ安定した本数をどう確保するか、という課題感がありました。

また、ちょうどイベントを強化していく方針があり、30分から40分程度のパネルディスカッションを記事化するといった案件が非常に増えていくことが予想されていました。しかし、社内には対応しきれるリソースがなかったことも大きな課題でした。

(株式会社宣伝会議 アドタイ企画部・編集チーム 上条 慎 氏)

小林氏: イベントレポートは鮮度が重要ですが、複数のセッションを取材するとコンテンツが溜まってしまい、タイムリーに記事化するのが困難でした。社内イベントでは15〜20ものセッションが動くこともあり、外部カンファレンスでも5セッション程度を取材します。急ぎの制作が必要で、かつ量も多い。そうした状況を解決できないかと検討していました。

イベント強化でレポート需要が急増、鮮度と量の両立を求めて導入へ

——そうした課題に対し、AIツールの活用は以前から検討されていたのでしょうか。

上条氏: はい、StoryHub導入前からChatGPTの有料版をネタ探しや記事作成に使ったり、文字起こしツールを導入したりと、随時さまざまなツールを試していました。その延長線上でStoryHubの提案をいただき、トライアルを実施することになりました。

——トライアルをしてみて、StoryHubの印象はいかがでしたか?

(株式会社宣伝会議 アドタイ編集チーム 小林 健太郎 氏)

小林氏: 当時、文字起こしツールでテキスト化したものをChatGPTに投入して記事化を試みていましたが、精度は5割程度で手直しにかなり時間がかかる状況でした。トライアルでStoryHubを使ってみたところ、7割くらいの仕上がりで出てきたので「手直しの量が少ないな」と感じたのが最初の印象です。AIツールはいずれも進歩が早いので、当時の時点での比較にはなりますが、仕上がりの精度の高さには驚きました。

トライアルで特によいと感じたのは、音声ファイルだけでなく動画をそのままインプットできる点です。タイムスタンプ付きで重要なポイントが正確に抽出され、記事に挿入すべきキャプチャ画像の箇所まで提案してくれたのは、便利だと感じました。

レポート記事のほか、多様なコンテンツ制作に活用

——現在では、どのような業務でStoryHubを活用されていますか。

上条氏: 当初目的だったイベントレポートはもちろん、今では多様な用途に広がっています。具体的には、以下のようなコンテンツ制作に活用しています。

  • セミナーレポート(30分〜1時間程度の講演やパネルディスカッションを記事化)

  • プレスリリース作成(スライド資料から生成)

  • 教育講座のテキスト作成(講師の解説をまとめて講座への導線記事を生成)

  • 密着取材記事(複数回の取材や資料など、複数の素材をまとめてレポート化)

セミナーレポートについては専用のレシピを作成してもらい、高精度な初稿が出力されるようになっています。

(株式会社宣伝会議 アドタイ企画部 東 香菜子 氏)

東氏: 私は普段、記事編集ではなく送客プロモーションを担当していて、ホワイトペーパーの紹介記事作成や、教育講座への導線記事の生成などにStoryHubを活用しています。例えば以前は、ホワイトペーパーの紹介テキストを私たちが作るか、お客様に作っていただくかで、どちらかに工数がかかっていました。今は専用のレシピにホワイトペーパーの資料をアップロードするだけで紹介記事が生成されるので、双方の工数を削減できています。

「諦めていた取材」に足を運べるように——心理的負担も軽減

——StoryHubの導入によって、業務にどのような変化や成果がありましたか。

小林氏: 最も大きな変化は、これまでリソース不足で諦めていた取材に積極的に取り組めるようになったことです。たとえば、カンファレンスを取材すると翌日はその記事作成に時間をとられ、別の記者会見には行けない、ということがありました。

今ではStoryHubに取材で得た素材をインプットしておけば、ある程度まで形にしてくれるので、安心して次の現場に足を運べます。これまでなら「この記事は最優先ではないな」と渋っていた2番手、3番手のテーマにも気軽に取り組めるようになりました。取材に行く心理的な負担が減ったと感じます。

——特に便利だと感じている機能はありますか。

小林氏: やはり、動画をそのまま投入できるUX/UIのよさは際立っています。また、PowerPointの資料、記者会見の情報、取材音声といった複数の素材を一度に投入して、要点をかいつまんだストーリーにまとめてくれる安心感はStoryHubならではだと思います。半年間にわたって6〜7回ほど取材を重ねた密着レポートを作成した際も、試しにすべての素材を投入してみたら、かなりのクオリティのレポートを出力してくれました。

東氏: 私はレシピが使いやすいと感じています。以前、社内でプロンプトを考えてChatGPTで同様のことを試したのですが、出力にブレがあり安定しませんでした。StoryHubはレシピに入れるだけで一定の品質で出力されるのでありがたいですね。また、よい出力結果をもとに、自分用にレシピをカスタマイズできる機能も便利で、どんどん精度を上げていけるのがよいですね。

作れなかったものが作れる時代、メディアの価値は「問い」にある

——AIの活用が進む中で、メディアや編集者の役割についてどのようにお考えですか。

小林氏:『アドタイ』ではAIに関する連載企画を進めており、取材を通じてこのテーマについて考える機会が増えています。 AIの活用は、制作費を削減するというより「これまで作れなかったものが作れるようになる」という多様性の拡大につながると考えています。リソースのハードルが下がることで、今まで踏みとどまっていたテーマにも挑戦でき、見たことのないようなコンテンツが増えていくのではないでしょうか。

その中でメディアの価値とは何かを考えると、オピニオンリーダーが「自分では思ってもいなかったけれど、聞かれたら答えられた」というような内容を引き出す「企画力」にあるのだと思います。あるインタビュー記事では、インタビュイーご本人がAIを駆使して取材後すぐに原稿が届いてしまい、主従が逆転するような経験もしました。AIが簡単に原稿を作れる時代だからこそ、人の思考を刺激し、新たな視点を引き出す禅問答のような取材が重要になってくると感じています。

一方で、AIで生成したコンテンツに対する受け手の反応はまだ過渡期にあります。ただ、影響力のある方々が積極的にAI活用を公言していくことで、世の中の受け止め方も変わっていくのではないかと思います。

※上記の話に関連した『アドタイ』でのAIに関する連載企画の記事はこちら

多様な創作が可能に

インタビュアー本人が簡単に出力できてしまう

AIによる生成物への受け入れ

魔女狩りのようだった空気が変わった

——今後の展望や、新たに見えてきた課題についてお聞かせください。

上条氏: まずは『アドタイ』での活用を、他の編集部にも広げていきたいと考えています。すでに複数の部署が興味を示しており、アカウントを渡して試してもらっているところです。

一方で課題も見えています。一つは、AI時代の編集者の育成です。これまでは「書けない人は直せない」と、まず書く訓練を重視してきましたが、この前提が変わっていく中で編集スキルをどう教えていくかは試行錯誤が必要です。

もう一つは、私のところに原稿チェックが集中し、目詰まりを起こしかねないというリスクです。AIによって原稿の生産量が上がるからこそ、レビューする編集・校正の体制をどう構築するかが問われます。

——StoryHubに対して何か期待する機能などはありますか?

小林氏: 機能面では、現状の「原稿作成」だけでなく、企画立案から取材調整、素材収集、編集までの一連のフローを統合してくれるAIエージェントのような存在になると、さらにありがたいです。また、良質なテキスト記事から動画を生成するような、マルチメディア展開に対応できる機能にも期待しています。

——最後に、同様の課題を抱える企業に向けてメッセージをお願いします。

小林氏: 「できない、溜め込んでしまう」という状況を解決してくれるサービスです。特に、編集部員が少ないオウンドメディアでは、絶大な効果を発揮すると思います。私も過去にオウンドメディア編集者をしていたので、あの当時にStoryHubがあったら助かったなと感じます。

東氏: まさに「チームメンバーが1、2人増えたような感覚」です。他の作業をしている間にベースとなる原稿が上がってくるので、業務効率が格段に上がります。

上条氏: AIに馴染みがない方々には、とにかく「まずは使ってみる」ことをおすすめします。この1、2年でAIの普及は急速に進んでおり、当たり前に使う時代はすぐそこまで来ています。


執筆: StoryHub(AI編集アシスタント)
編集: インクワイア
撮影: 関口達朗