
AIを活用して地域の魅力を全国へ!TSKさんいん中央テレビが挑む新たな情報発信
2025年03月14日
山陰中央テレビジョン放送株式会社
TSKさんいん中央テレビ(本社:島根県松江市)は、StoryHub株式会社が提供するAI支援ニュース編集アシスタント「StoryHub(ストーリーハブ)」を導入している。つい先日、この「StoryHub」を活用して、情報番組『SOUP』で取材した飲食店情報を新たに構成・編集し、『島根 鳥取 地元で人気のおいしいお店』という電子書籍を出版した。
そんな画期的な取り組みに挑戦したのが、同局のコンテンツプロデュース部・川中優氏と作野美加氏である。新たな可能性を切り開こうとしている彼らに話を伺った。

――今回「StoryHub」を導入して電子書籍を作ろうと思われたきっかけは?
川中氏:StoryHubさんとは2022年からのお付き合いで、23年にAIを使った編集サポートツールを開発しているという話を聞いていました。ちょうどその頃、情報番組のデータを電子書籍にしたいという思いがあり、データを貯めていましたが、そのための人員を増やすことは難しい状態でした。ところが、AIツールを使えば文字起こしや要約など様々な場面で作業スピードが上がり、効率化が図れるということで、トライしようということになりました。

――どのような工程で「StoryHub」を活用されましたか?
作野氏:ベースとなる文章を作る作業でStoryHubを活用したのですが、素材(放送時の台本)を入れてレシピ(※)で生成してみると、ちゃんとした文章が出てきたのでその精度の高さに驚きました。手作業で文章を作成する場合と比べると、作業時間が短縮されかなり負担が少なくなります。1から作る労力を考えるとかなりハードルが下がるなと感じました。
川中氏:今回31店舗の情報を電子書籍で紹介しているのですが、最初の原稿作成は2日間で31店舗分ができたので、そのスピードに驚きました。
※「StoryHub」のレシピ機能とは、作りたいレシピを選択し、取材内容をアップロードするだけで、テキストコンテンツを生成AIに作成させる機能です。
――電子書籍を作るにあたり、オリジナルの「レシピ」を作成されましたか?
作野氏:はい。「最初の店舗情報を何文字で」「店舗の雰囲気を入れる」といった基礎となる構成を決めたうえでレシピを作りましたが、ある程度の情報が素材に入っていないと、望み通りのボリュームの文章にならないので、そこは補う必要があります。

川中氏:情報番組の台本は意外と情報量が少ないんです。レポーターの喋りやナレーションは書かれていますが、実際の店舗情報として抽出すると、そんなに情報量がなくて。これをそのままAIにかけて200文字の原稿にしてくださいと言うと、情報量が足りずにハルシネーション(AIが事実でない情報を生成してしまうこと)が起きることがありました。
作野氏:このようなハルシネーションを起こさないために、足りていない情報を素材に追加するなど、StoryHubを使いこなすためには人間側の工夫が必要ということを実感しました。31店舗分の原稿を人の手でつくると質の差が出やすいのですが、レシピがあることによって、一定した質の高い原稿が生成されるというのはすごく魅力的な部分でした。

――AIを導入するにあたり不安や抵抗感はありましたか?
川中氏:最初は、放送用の原稿にはVTRの説明やいろいろな要素がはいっているので、本当に生成できるのかな?という不安がありましたが、きちんと情報が入っていれば、必要な情報をAIが判断して、こちらが求めている文章がちゃんとできるんだな、と思いました。
作野氏:実際作業してみると、いろいろな用途で使うことができるなと感じました。これからも、どういう風に使っていけるのか考えていきたいと思います。
――電子書籍の制作以外だと、どのような場面で利用していますか?
川中氏:今年度からTSKさんいん中央テレビではプレスリリースを積極的に出すようにしていて。番組制作やイベントなど、各部署が自分たちでプレスリリースを用意するのですが、これを手作業で書くのはひと手間ですよね。そこで、プレスリリース用のレシピを作りました。今回の電子書籍の出版についてのプレスリリースも、このレシピで作成したんですよ。

――今年から全社で「StoryHub」の導入が決定。皆様の反応は?
川中氏:コンテンツプロデュース部以外だと、営業の部署で考査のための文字起こしに使っていたり、報道部ではインタビューの整理などに使ったりしています。
先日、社内で「StoryHub」の説明会をしたのですが、大盛況でした。皆さん本当に興味を持ったようで、たくさんの社員が参加しました。中には海外向けの取り組みをやっている部署から「多言語翻訳に使えますか」というような話がでたので、早速レシピをつくりました。このように、社内でも色々な用途で使ってみたいという雰囲気になってきているのかなと思います。

――最後に、TSKさんいん中央テレビとして今後どのような展望を考えていらっしゃいますか?
川中氏:今までは鳥取島根に向けた、そこでしか見られない情報番組の取材情報を、今回電子書籍を出したことで、全国の人に届けることができたのではないでしょうか。新しい情報流通の形として、地域貢献につながっていく可能性が見えてくるのではないでしょうか。
今後も鳥取島根の取材を継続していく中で、電波だけでなく、いろいろな媒体にこの情報を二次利用することによって、全国にこの山陰の魅力を伝えていけたらなと思っています。
AIと人間が協働しながら、地域の魅力を新たな形で発信していく。TSKさんいん中央テレビの挑戦は、地方局の新たな可能性を切り開く先駆的な取り組みとして、今後も注目されていくだろう。
コンテンツプロデュース部
川中 優さん、作野美加さん
TSKさんいん中央テレビ


2025年4月に開局55周年を迎えるTSKさんいん中央テレビ。鳥取県と島根県を放送エリアとするローカル局ですが「日本一大きな挑戦を続けるテレビ局」を目指しています。近年は、全国向けバラエティ番組の制作や、世界市場向けのコンテンツ発信など、放送エリアの枠を超えた取り組みを行っています。(https://tsk-tv.com/)
■電子書籍のご紹介
電子書籍タイトル: 「島根 鳥取 地元で人気のおいしいお店」
発売日: 2025年1月(現在発売中)
販売価格: 350円(税込)
※Kindle Unlimitedでは無料で読むことが可能